2010/11/11

デノミとデフレ


  フランスより HAT です。今や過去の人となってしまった鳩山前首相。彼の発言の中で、唯一興味をそそられたのが以下のフレーズです。「政権交代の象徴としてデノミをやろうと思っていた。」

  デノミとは通貨単位を小さくすることで、今まで100円だったものが1円になることを意味します。私は以前から日本はデノミをすべきと思っていたので期待したのですが、彼はすぐに辞めてしまいました。

  写真は、ストックホルム(スウェーデン)の売店に張ってあった為替相場の紙です。これを見ると円だけ二桁単位が違っており、ぱっとみるだけではドル、ユーロと比較が難しいです。

  また、金融機関で働いていた時も常々ややこしいことがありました。ドル等の外貨は小数点3位を四捨五入して、「$500.027・・・」の様な場合、「$500.03」と計算します。一方、円の場合、小数点以下は切り捨てるため、「YEN 50,000.7・・・」の様な場合、「YEN 50,000-」と計算するのです。

  「そんなの覚えればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、問題はそう単純ではありません。アメリカで働いていた時、現地のシステムに円を導入する話になり、システム担当のインド人と一緒に頑張っていました。

  円導入手続きが完了し、束の間の休暇を取っていた私にインド人から連絡が来ました。「HAT、大変だ。顧客の手元にいった明細書の円の欄に、小数点以下の数字が載っている!」

  彼が言いたかったのは、通常「YEN 10,000,000」という形になるはずの明細書が、「YEN 10,000,000.59」というとんでもない表示になっているというのです。米国のシステムでは、小数点2位まで表示されるのが普通であるため、日本円のように小数点がない通貨を組み入れるのが大変難しいのです(あれだけ注意しろと言ったのになぁ・・・)。

  上記の点から、日本円は金融機関のシステム担当泣かせであり、円のために色々なプログラムを作成する必要があることから、大変不便だった記憶があります。

  またデノミを実施すると、現金を自宅保管している人も新しい通貨に換える必要があるため、銀行に入かねばなりません。そうすると、資金移動を政府が把握可能になり、徴税(わずかだろうが・・・)の助けとなる可能性があります。

  但し、デノミには反対意見もあります。その最たるものは、「デノミというのはインフレの時に実施すべきもので、デフレ下にある日本で行うべきではない」という考えです。過去、デノミを行ったトルコ、ロシア、北朝鮮等はいずれもインフレ状況にあり、デフレ下でデノミを実施した例は殆どありません。

  私は金融機関に勤めていたので、デノミに対する思い入れが強いのですが、皆さんはいかがお考えでしょうか?

  

2 件のコメント:

  1. こちらで「ユーロと円、どっちが価値が高いんだ?」と聞かれ、一概には言えない、という話をしたら「じゃぁ1円は何ユーロだ?」と聞かれたので「0.008ぐらいかな・・・」と答えたら「円てそんなに価値ないのか?」と言われました。こちらの人は桁があまり違うのに慣れてないのでパッと聞いたところでは分からないんですねぇ。

    ちなみにもし日本でデノミやるなら100分の1なんでしょうが、そうすると「5円チョコ」が「5銭チョコ」になってしまうので個人的には抵抗があります。。。笑

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  2. 日本では野球の打率でも、3割2分5厘という形で表示するけど、海外では「.325」と出ますね。

    これからも、日本では小数点以下の数字に対する馴染みのなさが感じます。

    「5銭チョコ」には我慢してもらって、是非通貨単位を合わせてほしいですね。

    都合の良いことに、「cent」と「銭」は発音も近いことだし(笑)。

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