2010/10/31

大リーグ

数日前に、野球ネタが投稿されていたので、アメリカの大リーグネタを1つ。左の写真は、アメリカのヤンキース応援グッズです。日本では余り見かけない(最近球状に余り行ってないからよくわからないけど)ものです。
 アメリカの大リーグの試合は、サマーのプログラムの一環でフィリーのとヤンキースのにいってきました。左のグッズはフィリーでも購入しました。ちなみに価格は10ドル。フィリーで買っていたとき、横に来た子供がパパに買ってほしいとせがんでましたが、だめといわれてました。自分で稼いでかいましょう!
 アメリカの大リーグとの違いは、選手が妙に大きいだけでなく球場も大変大きい!!なのにチケットは日本のほうが安い???
 Stubhubという格安チケットサイトで、ディスカウントで購入しても内野のいい席だと良いお値段でした。球状の席は5階まであるのですが、5階だと4ドルとかで購入できるものの、大きいはずの選手が小さく見えるという難点があります。
 球場の構成で日本と違うのは、外野席にフェンスがないため、ボールが顔面に飛んでくる可能性があり、グローブがほしいとおもいました。結局、2試合とも自分のほうには飛んできませんでしたが。あと掲示板??に選手のラインアップと現在のカウントが出るのは同じですが、選手紹介のたびにどっかの会社の広告もでてきて、うまく稼ぐシステムになっているなあと思いました。あとどちらの球場でも日本企業のおおきな広告がでーんとあって、製造業の底力を感じました。とくにTOYOTA。
 とまあざっくりいうとこんな印象の大リーグでした。

応援スタイルは日本みたいにうるさくなく、応援団みたいな団体は見当たりませんでした。

2010/10/30

フランス雑感2

 こんにちは。村井です。昨日2つ目の科目New Approaches to Media and Advertisingが終了しました。前半は新しい広告手法に関する講義がほとんどでした。日本ではあまりなじみのない、ストリートマーケティングやゲリラマーケティングに関する内容は興味深かったです。こうした広告は、日本では道路交通法などに抵触しそうなものが多かったので、日本ではあまり進んでいないのかなあと思いました。今回のグループワークは、自動車の広告キャンペーンに関する15分程度のプレゼンと、それに関する20枚超のレポート作成でした。具体的には、グループ毎に欧州の自動車メーカーが1社割り当てられ、与えられた会社のスウェーデンでの自動車広告キャンペーンを考えるという内容です。僕らのグループはSAABが割り当てられました。
 先日、フランスという国について書きましたが、今日はこれまで一緒にグループワークをやったフランス人について書いてみたいと思います。まず、フランス人の英語について。もちろん個人差があります(もちろん上手い人もいます)が、彼らはフランス語と英語を混在させてしゃべる傾向があります。授業中も時々フランス人が質問するのを聞いていて、何を言っているのか良く分からないことがあり、先生分かるのかなあと思ってみていると、フランス人以外の先生は、案の定質問を上手くかわして早々と次の話題に移ることが多かったように思います。先生がフランス人の場合は、質問を理解して返答しているので、俗に言うニホンゴ英語みたいなものがフランスにもあるのでしょう。確かに良く聞いてみると、英語の語順がフランス語の語順になっていたり(例えばinteresting storyならばstory interestingのように)、また、of がdeになっていたりと、英語の中にフランス語の要素がたっぷりつまっていました(笑)。それでも彼らと2週間やっていると、後半では本当に聞きづらかった人の英語でもある程度分かるようになるので人間の適応力というのはすごいなと感心したのでした。昔会社にカンボジア人が来たことがあるのですが、フランスの植民地だった影響もあって、その人達がしゃべる英語もフランス語の影響を受けていました。「h」を発音しないんですね。俗に言う無音のアッシュです。なので例えば彼らは「fish」をフィスと言っていました。初めて聞いたときに何それって思いましたが、くせを理解するとその人たちの英語も理解できるようになります。こんな感じなので、フランス人は僕が英語をしゃべれないと思うわけですが、しゃべれないんじゃなくて君の英語がおかしいから何を聞かれているのか分からず返事ができないというのが的を射た答えです。それにどちらかと言えばフランス語に近い癖の強い英語をしゃべる人ばかりが良く話しかけてくる。河田さんは、インド人の英語がすごく聞きづらいと言っていましたが、僕がインド人と話した限りでは彼らは英語を話していました。聞きとりにくいのは確かですし、強いくせはありましたが。
 まあ、それでも資料作りは順調に進みまして、発表も当日の朝に自分が説明するページを割り当てられ、アドリブで最後のプレゼンを流暢にこなしたので、彼らに僕もそれなりに英語はできるんだよということを理解してもらえたんじゃないでしょうか。前回のStrategyのプレゼンも前半はフランス人ばかりと一緒だったので似たような状況にありました。ただ、その時は中国系と(多分)アラブ系のフランス人がいたので、その人達にフランス人の英語(?)を英語に翻訳してもらって意思疎通を図りました(笑)。面白いのは、僕が理解できない英語をしゃべる人は、逆に僕の話す英語も理解できないということです。アメリカやイギリスの語学学校に行ってもフランス人はほとんどいないので、フランスでは独自の英語が発達しているのではないかと感じる今日この頃です。(補足:日本人の英語も、発音の面からは日本人とあまり接点がないアメリカ人にとっては聞きづらいということを付け加えておきます。なのでフランス人の英語を非難しているわけではありません。)
 来週から新しい授業が始まりますが、また似たような状況になるのだろうか?いやならない(反語)。というかなって欲しくないなぁ・・。国籍混ぜて欲しいよ、正直。数の面からも意思疎通の面からもフランス人ばかりとのグループワークはかなりアウェイ状態です。ちなみにグループのメンバーは先生から指定されるのでこちらに選択の余地はありません(トホホ)。
 ところで、先日マクドナルドのキャンペーンでDVDが当たり、授業も一段落したので昨日息抜きにその映画を見ました。タイトルは007の「Quantum of Solace」(邦題:慰めの報酬)でした。言語はもちろん英語かフランス語しかありませんので、英語で見ました。日本語字幕なしでアクションものをどこまで理解できるかなあと思いつつ見ていましたが、自分のこれまでの尺度で比較して、今までにない理解度の高さに自分でも驚きでした。ここ数ヶ月いろんな英語を聞いていたので、理解できる英語の幅(国ごとの英語の違い)が広がったのかなあと感じた次第です。某航空会社のキャッチコピーに「鍛えた翼は強い」というのがありますが、差し詰め「鍛えた”耳”は強い」といったところでしょうか(笑笑笑)。でもジェームスボンド役のダニエル・クレイグの英語が相当早くて難しかったです。あとで調べてみると彼はイギリス出身の俳優でした。ハリウッド映画だけど、彼の英語はイギリス英語なのでしょうか???
 11月は1週間の休みが2回あるので、アイルランドとアイスランドに行く予定です。アイルランドではビジネス英語研修を1週間受けることにしています。アイスランドでは、4日間で世界最大の露天風呂であるブルーラグーンと、冬の風物詩オーロラを見てこようと思っています。アイスランドは自然エネルギーの宝庫で、電力のほとんどが地熱発電などのクリーンエネルギーで賄われている珍しい国です。ブルーラグーンにおいても、地熱発電で利用された地下熱水が再利用されているらしいです。
履修科目についてですが、5科目を取りました。

1. Technical product development 
2. Intellectual property law 
3. Small business management
4. Business to business marketing
5. Future challenges in sciences & technologies 

1~3番はすでに終わりました。
それぞれについて紹介したいと思います。

<Technical product development>
製品開発において、ビジネスアイデアから製品ができるまでのプロセスマネジメントについて勉強します。実際授業では、学生一人一人アイデアを出して、ネットのアプリケーションを通して投票し、いいアイデアをピックアップ、グループでプレゼンテーションという流れでした。授業では、Ideoというコンサルティング会社の紹介もあったりコンパクトで濃い内容でした。

<Intellectual property law>
Copyright, patent, trade marksなどについて勉強しました。特許の調べ方という内容もあって、実際特許調べて、その関連技術についてプレゼンテーションしました。また、特許は企業の戦略にとってどの程度重要なのか、ケースを使って討論しました。

<Small business management >
アントレプレナー関連の授業です。ケースはZara,Innnocent drinksなどを使いました。教授はとてもユーモアがあって、たくさんのケースや例を出して授業しました。

以上の三つの科目も外部の先生でした。Intellectual perperty lawの先生は現役弁護士で、technical product developmentの先生はMITからの訪問教授でした。どれもとてもコンパクトでわかりやすかったです。

HECのElective授業は基本的に18時間、6回X3時間で行われるので、ほんとにコンパクトです。前の投稿で学校のキャンパスについて話しましたが、コンパクトの授業で助かっています。

通学路




はい、これは僕の通学路です。 この写真はキャンパス構内にある道。雨が降ってるとき泥になるので最悪です。駅から正門までは徒歩30分、バス10分のところにあるんですが、ストライキの時はバスがないので、学校のショットカードを使います。そのショットカードへ入るためにドアがありますが、そのドアは故障することが多い、しかも学生証が必要なので、その隣にあるゲイトで学校入る時に、通学路は以上のようになります。
実はやっと一昨日学生証をもらいました。学校が始まってから1カ月半も経ってからやっと手に入れたのです。

HECは森の中にあるキャンパスですね。キャンパスマップの写真もアップしました。




前の投稿にも紹介しましたが、もう一回家から学校までのルートを詳しく紹介します。
A) Champ de mars駅(エッフェル塔の近くの駅)⇒25分⇒Versaille chantier駅(ベルサイユの近くの駅)
B) Versaille chantier駅⇒9分⇒Jouy en josas駅(学校の近くの駅)
C) Jouy en josas駅⇒バスで10分か徒歩で15分(ショットカード)/35分(正門)か⇒キャンパス

こうみると1時間程度しかかからないですね。と見えるんですが、実は家から学校のキャンパスまで片道で1時間15分~1時間45分かかります。なぜなら、乗り換えの待ち時間は15~45分というばらつきがあります。バスも一本逃すと結構待ちます。通学時間は、駅で待ち時間と、シャットルバスがあるかどうか、ストライキがあるかどうかによります。ストライキがある時、ベルサイユから学校の駅までの電車が1時間1~2本しかないので、待ち時間が結構かかります。

実は先週エピソードがありました。夜9時まで授業がある日の帰りだったが、ベルサイユ駅からパリへ向かう電車がなぜか途中の駅で、いきなり「終点です」というアナウンスが。。。そして、電車乗ってた人がパニックになっていました。なぜなら、次のパリへ向かう電車はもうないし、ベルサイユとパリまでの間の駅は本当に田舎なので、あんまり交通手段がないから。
僕は他のフランス人について駅員にパリへ帰る方法を尋ねました。そしたら、近くにある他の線路でパリへ帰られるよと教えてくださいました。僕は見知らぬフランス人をついて行きました。3人の不良っぽい青年、2人のマダムと僕という6人の不思議の構成でした。結局、無事に他の線の駅を探せて、パリに帰られたが、片道で2時間半もかかってしまいました。

<HECに留学する方のための住むところのアドバイス>

パリで住みたい場合:
1.RER C の沿線、特にChamp de mars駅からJavel駅の辺。 Versaille Chantier駅で乗り換え。
2.Montparnasse駅の周辺、Montparnasse駅からVersaille Chantier駅へ行く電車があるため、本数も多い方。
3.St. Michel駅からBiblioteque F.Mitterrand駅の辺。乗り換えなし(RER Cの右のルートを使う)で、学校の駅まで行けます。

学校の近くで住みたい場合:
ベルサイユで住むのがお勧め。店があり、住む環境もいいし、学校からも近い。ただし、短期契約ができる場所が限られている。

部屋探しも8月はバカンス(一斉休暇)であるため、注意すること。早めに探すのをお勧めです。

愛ゆえに・・・


  フランスより HAT です。いつも前職に批判的な私ですが、良かった部分を2点並べてみたいと思います。

 ① 有給休暇を完全消化できた
  もしかしたら、日本にある企業の中で一番休暇が取りやすかったかもしれない。1年に一度、連続2週間の休暇が全員に義務付けられていました。この間、他の人が業務を行うことで、不正を防ぐという意図はあったとしても、従業員にとってはとても良い制度だったように思います。

  休暇の間、色々な国に行けたので、「日本全体が同じように有休消化できれば果てしない経済効果が生まれる」と常々思っているのは、そのためです。有休を取ることで心身ともにリフレッシュして、生産性もやる気も大変上がった記憶があります。その点からすると、休暇を取らないことで日本全体が生産性を落としているとも言えます。

 ② ジョブ・ローテーションがあった
  外資系企業の場合、部門別採用でジョブ・ローテーションはない場合が普通です。しかしながら、前職はフロント、ミドル、バックオフィスの全てを経験させてくれました。これは、ビジネス・スクールに入ってからも良かったなと思う点です。

  KBSの企業派遣の方達も、様々な業務を経験されてビジネス・スクールに入られていると思います。日本企業のこの姿勢は高く評価されるもので、経営幹部層でも末端の業務を知っているというのは企業として大変強い証拠と言えるでしょう。欧米のビジネス・エリートに欠けているのはこの点で、何だかんだ言っても日本が大丈夫だと思うのは、日本企業のこの経営姿勢があるからと考えます。

  欧米のビジネス・スクールを卒業後、最前線の営業や工場勤務をする場合は少なく、彼らはこのような経験なしに、「多分こうだろう」という予想を基に判断を行うため時折とんでもない間違いを犯します。前職の一つ前のCEOも金融経験のない弁護士であったため、複雑な商品が理解できず、損失が拡大するのを防げなかったと言われています。
 
  話が若干それました。そう、前職の良かった点ですね。まあ、これ以上はないな(笑)。前職に批判的なのは、愛があるからかもしれません。北斗の拳に登場するサウザー(写真参照)もこう言っています。

  「愛ゆえに人は苦しまねばならん!愛ゆえに人は悲しまねばならん!愛ゆえに・・・」
  
  前職やフランスに対して厳しいのは、愛しているから、良くなってほしいからという気持ちが裏にあるからだと感じます。こういうことを書いていると、北斗の拳が読みたくなりました。しかしながら、北斗の拳は残酷すぎるという理由で、外国では売られていないのでした・・・

  

街中にいる芸術家 その2

その1の続き、芸術家の写真をアップします。













へなちょこシャワー


  フランスより HAT です。最近はめっきり寒くなり、明け方の気温は5度を下回る程になりました。どちらかと言えば暑さよりも寒さに強い私ですが、最近困ったことがあります。夜10時を過ぎると、シャワーからお湯が出なくなるのです。

  風呂好きの私としてはシャワーだけだと辛いのに、その上お湯が出ないとは正に地獄絵図であります。現在住んでいる寮では、この様な問題が起った時、「問題解決用紙」の様なものに記入して、直してもらうことになります。いつ直るかは不明ですが、それまでは夜9時くらいまでにシャワーを済ませ、10時には寝る生活になりつつあります。

  そうすると朝起きるのが早くなるのですが、朝早すぎる時間だとまたお湯が出ないことを発見し、どのようにして正気を保てば良いのか困っております。最悪の場合、図のように洗面所の蛇口の湯を使おうかと思ったのですが、シャワーから湯が出ない時は蛇口からも湯が出ないのでした(シャワーと湯の出所は同じであるため)。

  風邪をひく前に直して欲しいものであります(いい加減にしろよな、この寮・・・)。

  

言語について考えること




Mac Airが最近発売することになるということで、アップルのサイトをチェックしたところ、各国のオフィシャルサイトがあるとわかりました。

香港、台湾と中国のサイトをクリックしてみた。

そこで、新発売というところのチャイ語が微妙に違うと発覚。

香港:「Mac Book 次世代誕生」

台湾:「未来世代Mac Book, 現身」

中国:「未来一代Mac book 誕生」

ちなみに日本は:「Macのノートブックをつぎの次元へ」

Hotnewsのところも微妙に違った。

香港:「焦点新聞」

台湾:「發焼新聞」

中国:「熱点新聞頭条」

ちなみに日本は:「Hot News Headlines」

さて、フランス語はどうか。

フランス語圏のフランス、スイス、ベルギー、カナダ(ケベック)はどれも同じで「La nouvelle generation MacBook」になていました。しかし、ニュースを意味する「Actualites」のところはカナダだけが違っていた。カナダ(ケベック)では「manchettes」となっていました。やはり遠いカナダでは、若干用語が違うんなんですね。

アップルのホームページの以外に、Wikipediaを使う時に言語について思いました。

中国語の場合繁体字と簡体字というふたつの漢字体系があります。中国大陸の方は簡体字を使っており、香港・台湾・マカオでは繁体字が使われています。簡体字は中華人民共和国が1960年代に制定された漢字の体系であり、いわゆる略字です。Wikipediaを使う場合に、大陸簡体字、シンガポール・マレーシア簡体字、台湾繁体字、香港・マカオ繁体字という4つの選択があります。同じ言語なのに書き方(中国語は形を表す文字なので可能なわけですが)まで違うというのは中国語以外にあんまりないではないだろうか。

ちょっと話変わりますが、スペインの本屋さんとCD屋さんに行ったときに思ったことがありました。スペインでのCD屋さんはラテンアメリカのCDも売っていました。本屋さんではスペイン語の本ですが、恐らく一部は南米の出版物かもしれないなと思いました。そうなると、出版業などスペインと南米と合わせてスペイン語圏の経済規模はかなり大きい。 フランスでも、同じフランス語圏のベルギーやケベック州からの歌手もよくこちらで人気があります。というのは、違う国でも同じ言語を話していることは、フランス語圏とスペイン語圏の人々にとっては普通のことですね。日本語を公用語としている日本以外の国はないので、日本人にとってはわかりづらい感覚かなと思いました。

言語は経済と人の交流に影響することがおもしろいですね。

コンサルオフィス24時

  フランスより HAT です。本日、某コンサルティング会社のパリオフィスを訪れました。フランスの国会議事堂にほど近いオフィスは太陽光を浴び、白いビルが更に白く見えたのであります。

  私が最初にコンサルタントに会ったのは、3年前までさかのぼります。前職の営業担当者のやる気を引き出すため、インセンティブ・ボーナスの算定制度を抜本的に見直すために外部のコンサルタントが呼ばれました。紺のストライプ・スーツに身を包んだ彼は、様々なミーティングをこなし、やる気満々でした。

  しかし、一つ問題がありました。彼は日本語が話せなかったのです。外資系と言えども、営業担当者は英語ができない場合もあり、多くの場合通訳をつけてコンサルタントと話す形になりました。こうなると、現場の人間は言いたいことを言わず、上っ面の意見しかコンサルタントに伝えない状況になったのです。通訳が入ると信頼関係が薄くなるのは外交関係でも同じで、日本の首相や大臣が英語を話せないのはこの点で大きな問題があるでしょう。

  さて、今回コンサルティング会社のパリオフィスを訪れたのはケース・ディスカッションをするためであります。早速ですが、以下はケース・ディスカッションのやり取りです。

コン: 日本の筆記具市場はどれくだいだとお思いですか?
HAT: 筆記具とおっしゃいますと?
コン: 鉛筆、シャーペン等書くために使う用具です。
HAT: 1年に1人4、5本筆記具を使うとして、価格にすると1本100円かける5で500円。日本の人口が1億3千万として、これかける500で約650億円・・・

  という風に試算を交えながら、様々な議論を行いました。さすがは現役バリバリのコンサルタント。スマートで聞き上手、ときおり笑顔を振舞いながらのやりとりとなりました。頭脳だけで商売をしているコンサルタント。これからは色々なことを考えながら生きようと感じた、金曜日の午前でした。

  

2010/10/28

タックの授業

なぜか暖かい日が続いて気持ち悪いハノーバーからです。青井先生いわくこの暑さはインディアンサマーというらしい なぜインディアンかは現地の友達に聞いてもわかりませんでした。
タックは先週一週間中休みで今週月曜日から後半戦が再開しました。この一週間の休みはタックの2年生にとっては、この深い森の仲間でリクルーター軍団が一週間の日程でわんさか押しかけ、内定を出すとても大事な期間です。休み中に図書館に行ったら、スーツ姿の友達にやたらと会いました。
授業はどのような感じかといいますと、規模が小さい大学のため割と和やかな感じです。後半は、上級競争戦略論、イノベーションとアントレプレナーシップストラテジー、上級プレゼンテーション、女性とリーダーシップ、あと聴講で経営再建論をとってます。前3科目は、フルターム授業で前期から引き続き、女性。。。は半タームのため後半から始まりました。

1上級戦略論 軍隊出身のダベンティという先生で、戦術を企業戦略に生かそうというのが彼のコンセプト。彼の理論はポーター批判に始まり、コモディティ打破のための戦略提案がメインです。この授業はコールドコールがあり(要は突然当てられること 答えられないと評価が下がる)、最初はびびりましたが、最近はなれました。ローマ帝国時代の歴史から戦略をみるという視点は割と面白いです。明日は、ランチタイムに先生によるローマ帝国の戦略について自由参加の授業があるので参加します。

2 アントレプレナーシップ等 略しましたがこの授業は、とてもわかりやすくておもしろい。アドナー先生はタックに来る前はインシアードにいて戦略を教えていたそうです。きわめて明快な授業です。新技術系の話が多く、もともとエンジニアの学部出身のルームメートは特に気に入っています。

3上級プレゼンテーション この授業はほぼ毎回パワポ作ってプレゼンをするという授業ですが、期末テストがないのはありがたいです。しかーし、アメリカ流のプレゼンになれず、やたらアニメーションを入れろという先生の指示はいまだに習得できないです。 1の授業での先生のプレゼンにしても毛虫のアニメーションがやたらでてきたりするので文化の違いなのかなあと思います。アメリカと日本との違いをいろいろ比較できるという意味でもとった意味があるのかと思ってます。

4女性とリーダーシップ この授業は、予想通り女子学生しかいません。しかしタックの学生だけでなく、タックの隣のセイラーという技術大学院からも学生が来ていてバラエティがあります。先生は、タックの万オリエントの文化を改革したいという気持ちをもって暑く授業をしてれます。ときどき暑すぎますが。。あとこの授業は鬼のようにリーディングがあり、明日の課題もさっきプリントアウトしたら、かるく50ページ超えていたので鬱が入りました。おまけに授業ですべて内容を確認するため飛ばし読みができない。。。

5 経営再建論 これは許斐先生の授業とはまったく異なり、一年生のときの井上先生プラス小幡先生という感じです。前半戦は完全に井上先生と同じでバリュウエーション重視で閉口しましたが、後半に入ってコーポレートガバナンス、アメリカ破産法とかに話題の重点が移ったので楽になりました。この科目は一番リーディング量が多く一回当たり70ページは超えることが多々あります。月曜、火曜一限なのがさらにつらい。。。内容は、割と深いためおもしろいです。この授業を聴講したのは、先生が小幡先生の兄弟子のラポルタ先生(国際財務でたくさん読まされた)だからで、これまたびっくりしたのが、外形はまったく異なりますが、しゃべり方とか教え方とかがデジャヴューであったことです。小幡先生に、伝えたところ、指導教授が同じだからだといわれましたがそこまで似るのか。。。とおもいました。

私が取っている授業はこのような感じですが、どの教授も親切で下手な英語の質問にもよく答えてくれます。これもタックの文化なのかもしれないです。

余り長いと読む気がなくなるとおもうのでこの辺で



この取引はここだけに・・・


  フランスより HAT です。社会人2年目に審査業務部というところにいたのですが、そこでは不動産、株式、債券等を担保に様々なローンを提供していました。上場企業オーナーの顧客で、自社株を担保に結構な額の融資を受けていた方がおり、その方から、「株価が下がっても、担保割れを起こさない仕組みを作れないか?」という依頼がありました。

  日本の場合、企業オーナーは株価が下がると思っていても、中々保有株を手放さず、暴落時でも何もしないという方が結構います。この方は新し物好きということもあって、色々な取引を試してくれました。

  前職はデリバティブに強かったこともあり、顧客にプットオプションを買ってもらい、それに質権を設定する(オプションを担保にする)提案を行いました。これにより、株価が下落してもプットオプションが防波堤になるため、担保割れを起こさずに済むことになります。

  その後、2001年9月に米国同時多発テロがあり、株価が暴落したのですが、この仕組みのおかげで顧客は追加担保を入れる必要もなく、大変喜んで頂きました。この取引では、融資の金利、オプションのプレミアムがこちらの利益となるため、営業担当者もホクホク顔でした。

  この取引が完了した後、営業担当者の方が労をねぎらい、美味しい和食をご馳走してくれました。しかし、彼が放った一言が食事の味を変えてしまったのです。

彼: 「HAT 君、この取引はここだけにしてもらって、他の営業部員には教えないでもらえるかな?」
HAT: 「えっ、どうしてですか?」
彼: 「これが広まってしまうと、他の人も儲けてしまうでしょ。」
HAT: 「まあ、そうですね。」
彼: 「そうすると、東京支店全体が儲けてしまって、来年の目標が上がっちゃうじゃん。」

  彼が言いたかったのは、「この手法を他の営業部員が使うと利益が膨らみ、東京支店全体の収益が拡大するため、来年の収益目標が高くなり嫌だ」ということです。つまり、「俺だけ儲けたい」というエゴを彼は丸出しにしていたわけです。

  前職の経営が行き詰ったのは、この「俺だけ儲けたい」症候群が蔓延していたことがあげられます。こうなると、ノウハウを同僚に教えなくなり、会社全体としては発展が止まります。しかし、教えてしまうと自分の収益目標が上がるので、個人としては教えない方がよい。つまり、「個人にとってはよいが、全体にとっては好ましくない」現象である「合成の誤謬」が社内で発生していたことになります。

  実は、日本社会全体にも同じ現象が起っています。「俺の会社だけ儲けたい」という理由で、法律で定められた有休を従業員に消化させず、社会全体で供給過剰現象を引き起こしています。合成の誤謬を解消するには政府の役割が大きく、有休消化を法律で義務付ければ、お金を使う機会が増え、日本が抱える問題解決になります。

  フランスでストが頻発して、交通は麻痺し、外資系企業は進出をためらい、様々な問題が起っています。ストの目的は、「俺だけいい思いをしたい」ということでしょうが、社会全体では明らかなマイナスです。フランス人に「ストを控えろ」というのは、日本人に「有休を消化しろ」というのと同じなのかなぁと思う今日この頃です。

(写真は、広末涼子主演の映画「秘密」。この頃が一番かわいかったなぁ・・・)

  

2010/10/27

後半戦スタート

初雪が降ったストックホルムから増子がお届けします。

早いもので、今日から後半戦がスタートです。
後半に取った授業はMacroeconomicsとDesign & Innovationです。
どちらも週に2回ずつ授業があります。
Student webに乗っているスケジュールだと変則はなさそうです。
(前期は突然週3だったり曜日が変わったりした授業も。)
でも、この予定表は正しくないこともあるので、中々油断できませんが。

Macroeconomicsは学部生も取れる授業なので、基礎っぽい感じ。
何気に未修者なので助かります。
そして、周りを見渡すと、若者率高し。
元々、SSEの修士課程は24~25歳くらいの人が多いのですが、
この授業はもっと若そうだ。

D & Iの方は、近隣の5大学と合同の授業で、
電車で30分くらい行ったところにあるの美大での授業。
グループワークで最終的にはデザインによるソリューションを提案するとか。
プロトタイプの作成までやるらしく、面白そう。。。

両方の授業で縦横のダイバーシティーを感じつつ
更なるネットワーキングに勤しむ所存でございます。


さて、話は変わりますが、今日から私、日本語を教えることになりました。
生徒さんはスウェーデン人の女の子で、空手が好きなんだとか。
可愛い。そして意欲的で飲みこみも早い。

今日は日常会話を中心に、動詞の五段活用についても説明しました。
飲まない、飲みます、飲む、飲むとき、飲めば、飲め、飲もうです。
aiueoって変わるんだよ、って言ったら面白がってました。

しかし、教えてみると、日本語の複雑怪奇っぷりがよく分かります。
次回どうしよう。。。

速くならない飛行機


  フランスより HAT です。先日、ボストンに行ってきましたが、改めて米国は飛行機大国だなぁと感じました。飛行機を製造しているメーカーは、世界で米国のボーイングとフランスのエアバスしかありません。エアバスが技術提供した中国メーカー製の飛行機が中国国内を飛んでいるらしいのですが、今のところ中国以外で飛行許可が下りる見込みはないそうです。

  さて、飛行機に乗っていていつも思うのは、「中々、着かないなー」という虚無感です。技術的には飛行機の速度をもっと上げられるのですが、これ以上速くすると空港がパンク状態になって離着陸の制御ができないため、飛行速度が変わらないらしいです(生産政策の授業で、「速すぎても遅すぎてもいけない。速く作りすぎると工場の後ろが詰まる」っていうのがあったよなぁ。鍋屋バイテックだっけ?それと同じ論理か?)。

  また、ボーイングとエアバスの二社が世界市場を寡占しているため、彼らに技術革新やコスト削減のインセンティブが少ないのも速度不変の理由とも言われています。コカ・コーラとペプシの関係と同じで、二社寡占の場合に一方が価格を下げると、結局どちらにとっても良くない結果が起こるという経済学上の論理が、空の世界でも現実になっている訳です。
 
  それに加え、2001年9月以降世界中の空港が防犯を強化して、乗客が飛行機に乗るまで時間がかかるようになって、更に飛行速度を上げる意味がなくなったと言われています(乗客の空港滞在時間が長くなり、更に込むようになったということ。この状態で飛行速度を上げると、もっと乗客が増え、空港がパンクすることになる)。

  信じられないことに、2001年9月以前のアメリカでは殆ど防犯チェックもなしに乗客が飛行機に乗っていたと言われています。私のアメリカ人の同僚によると、「テロ以前は、預入荷物がなければ、15分前に空港入りしても飛行機に乗れた」と言っており、いかに現在と違っていたかを物語っています。

  今回、ボストン入りする時に税関で指紋を取られ、ボストンを出る際には「靴を脱げ」と言われ、空港での防犯体制が強化されることはあっても、ゆるくなることはなさそうです。「空の旅を快適にする方法はあるのだろうか?」と考えてみたところ、「成功してファーストクラスに乗るしかないなぁ」という結論に達しました。アメリカン航空の狭いエコノミー席で、半年後の社会復帰に向けて、ひそかに意気込みを誓う自分がいたのでした。

  

2010/10/25

フランス雑感

こんにちは。村井です。
昨日、中国人留学生とフランス人、私、河田さんとで火鍋(四川風の辛い鍋)を囲んできました。フランスの食べ物は基本的に美味しいのですが、久しぶりにアジアの味にふれてとほっとしました。自分はやはり日本人だなあというアイデンティティを認識した瞬間でした。
これまでフランスの景色や旅行の話ばかりだったので、今日はフランスに来て感じたことについて綴ってみたいと思います。

さて、私の取っている授業では、なぜかフランス人のSup de Cop(日本でいう修士課程)の学生さんと一緒にグループワークをやることが多いです。まず、フランス人とグループワークをやっていて思うことから書いてみましょう。フランス人はとても論理的です。伝統や文化を大切にしているお国柄ということもあり、課題のテーマ(企業研究など)に関しても、過去に遡って社会や企業の文化的、歴史的背景から答えを見出すことを得意としているようです。我々日本人は、効率性や生産性に目が向いているので企業を見る視点がずいぶんと違うなあと感じました。簡単に言えば、日本はスクラップ&ビルドだけど、ヨーロッパは積み重ね型(accumulated)だということです。現在の形になるために、過去こういう過程を通ってきて現在に至るみたいな。それと、フランス人はグループワークの際、自分の出した意見に対して必ず理由を答えてくれるので、僕にとってはとても良い環境です。おかしいと思ったり、こういう考え方もあるよ、と思えば意見を出すし、それで論理が通っていたら彼らの意見に同意する。だからグループワークも早く終わります。
まあ、HATさんはいつもフランスを批判的に書くのですが、物の見方によっては逆のことも言えます。確かにフランスはストライキが異常なほど多いです。これは否定しません。相当経済的にも損をしていると思います。一方、日本はというと、日本人は確かに働いています。バカンスもありません。で、結果はどうかというと、これだけ働いてフランスと同じかそれ以下の経済成長しかできていない現状です。これをどう見るべきでしょうか。フランス人は以外と効率的に労働をしていると考えることができませんか。
また、これについては、日本人は自分で自分の首を絞めているという考え方もできます。フランスの店は日曜が基本的にお休みです。特に、ここReimsでは日曜は食料品も買えません。でもみんなが休むことに納得(宗教的見地)しているからこれで良いのです。逆に日本はサービス過剰と考えることもできます。サービスを提供するために、昼夜を問わず自分たちもその労働に加担しているのですから。どういう働き方が良いのか考える必要もあるでしょう。あと日本人は良質の製品を安価に作ったり、大量に作ったりするのが得意ですから、物に価値を付けにくいですね。いっぱいある物に高いお金を払う人はあまりいません。この点について言えば、フランスはデザインやブランドといった無形の価値を付けるのが得意だと思います。但し、工業製品(特に日用品の小物)は日本に比べ高く、品質は10年以上遅れをとっている感があります。それと、基本は農業国なので農産物は安いです。
 次に感じるのは、社会全体のルールに関することです。日本も自己責任という考え方をもっと導入すべきでしょう。自分の身は自分で守る。この考え方は重要です。確かに何か起きたら警察に助けてもらうしかありませんが、所詮警察も何か事件にならないと動けませんから。最近思うのは、日本もそれほど安全ではないということです。海外は危ないという概念が定着していますが、日本だって人の目が行き届かないところは決して安全とは言えません。これは基本的に世界のどこの都市でも同じだと思います。
 自己責任という点で感じるのが、社会インフラに対するコストのかけかたです。鉄道にしても郊外に行くとフェンスのないところをTGVが高速で通過したりします。日本の新幹線だと人が入り込まないように鉄道会社がコストをかけて全区間で対策を講じますが、こういうコストが建設費を高くする理由の一つになるような気がします。人口や税収が減っていく中で、今後どのように社会インフラを維持していくか根本から考えなくてはならないでしょう。また、今やスローガンのように使われている「コスト削減」という言葉ですが、現状のルール(法律や制度)を変えずに金を削るだけならば、製品や建設に関する仕様は変えられないので、物を安く買ってカバーするか、単純に業者に同じ仕事を安くやらせるしか術がないのではないでしょうか。仕事をしていて思うのは、皆さんやり方を変えることには非常に慎重ですし、変えた後何が起こるか分からないのでむしろ変えたくないというのが本音だと思います。文化や伝統、日本人の気質などをあまり考えずに効率性や経済性という観点だけでやろうとしても、日本人の本質と政策が一致しないのでうまく機能しないのではないかと思います。人間の本質的研究と経済、技術の3つが揃ってはじめてうまく機能するのではないでしょうか。西洋の人は哲学や芸術に関する話を良くしますし、詳しいです。日本では就職の際に、こういった学部で学んだ人が一般的に不利だと言われているのはとても残念な状況だと思いますね。

2010/10/24

厳しさは優しさ


  フランスより HAT です。今週、木曜日から土曜日まで米国ボストンにおりました。ボストンは初めてだったのですが、天気も良く非常に楽しい3日間でした。土曜日の朝に、ニューヨーク時代の上司と飲茶をしました。彼は中国系アメリカ人で、現在はボストンにある生命保険会社の運用担当として活躍しています。

  私がニューヨークにいたのは2002年、2003年でしたが、当時はアメリカの金利が下落局面(価格は上昇)であったため、債券取引が大変活発な時期でした。従業員を教育しないことで有名な(?)前職にあって、当時の上司であった彼は例外的に部下に対して教育熱心で、自分の知識や経験を常に分け与えようとしていました。彼がいつも私に言っていたのは、「英語は堂々と間違えろ」、「話す内容を文書化しろ」、「距離をつめてささやけ」という三つです。

  ①英語は堂々と間違えろ
  彼は常々、「お前は外国語で仕事をしているんだ。それは、非常に不自然なことだ。だから、英語を間違えるのは自然なことだ。気にせず堂々と間違えろ」と意味不明の論理を振りかざしていました。但し、「堂々と間違える」ことは結構重要なことで、間違えることを気にせず話すことで間違いが少しずつ減っていくことに気が付きました。

  その代り、一つだけ決して間違えてはいけないことがありました。それは金額です。債券の注文をトレーダーに出す場合、「Ford, Buy, $430,000(four hundred thirty thousand)」という形で普通は終わります(かなり簡略化してある)。私は英語に不安があったため、「four, three, zero, comma, zero, zero, zero」と数字で復唱することを彼から指示されました。おかげで、大きな事故を起こすこともなく、2年間を過ごすことができたのです。

  ②話す内容を文書化しろ
  アメリカの大学では、「スピーチ」という授業があります。そこでは、話す内容をカードと呼ばれる小さな紙に箇条書きにまとめて、それを見ながらプレゼンするように指導されます。ニューヨークに行ったばかりの時は、顧客訪問時もカードに話す内容を箇条書きにして、プレゼンをしていました。しかしながら、内容を完全に覚えている訳ではないので、所々詰まったり、質問にうまく答えられないことがありました。この点について、彼は私に厳しく指導しました。以下は二人のやりとりです。

彼: お前はなんで、その小さな紙を見ながらプレゼンするんだ?
HAT: 大学の授業でそう教わりましたんで。
彼: お前に一つ重要なことを教えてやる。実社会においては、学校の勉強など何の役にも立たない(← 問題発言)。だから、大学の授業で習ったことなど全て忘れてしまえ。
HAT: ・・・
彼: 大体、カードを使うプレゼンというのは、英語が母国語の人間がすることだ。英語が下手なお前がネイティブと同じようにやって勝てると思うか?もっと頭を使え。
HAT: しかし、カードがないとプレゼンが難しくなります。
彼: 逆だよ。話す内容を全て文書化するんだ。そうすれば、内容を忘れても、話が途切れることはない。

  それ以降、プレゼン前日の夕方はいつも文書化した台本を基に、彼の前でリハーサルをすることになりました。文書化を始めて気付いたことは、内容が明文化されているので、自分で「ここはおかしいかな」、「これはこうした方が相手はわかりやすいな」と一人で改良することができたのです。

  また、彼とリハーサルをすることで、「そこはなぜそうなる?」、「どういう論理でその結論になった?」という想定問答の練習にもなったのです。プレゼンを文書化することにより、少しずつ取引量も増え、そうするとトレーダー達も良い情報を回してくれるようになったのです。点を取るフォワードにはパスするけど、点取らない奴にはやらないということかなぁ(笑)。

  ③距離をつめてささやけ
  これは営業で契約まで持っていく時の技術として、彼が唱えていたことです。顧客と話をする際、既に面識があるのであれば、正面ではなく、斜め前に座れと彼はいつも言っていました(正方形の机で、斜め45度に座れという意味)。斜めに座ることで、真正面に座るよりも話す声量が小さくて済むと彼は主張していました(斜めに座ると、こちらの口が相手の耳に直接向いているから。正面の場合、そうではない)。

  彼曰く、「お前は恋人に愛の言葉をささやくとき、真正面から言うか?言わないだろう?隣に座って、彼女の耳元で愛の言葉をささやくはずだ。営業も恋愛と同じなんだから、相手が心地よい空間で、心地よい声量で話さないと駄目なんだよ。」

  最初にこの話を聞いた時、「この人は大丈夫だろうか?」と思ったものです。しかしながら、ものは試しで、既に面識がある顧客との商談の場で斜め前に座ると、確かに反応が良いパターンが多かったのです。恋愛のケースは不明ですが、営業のケースでは「ささやき戦法」はある程度成果を収めたような気がします。その名残で、ビジネス・スクールに入ってからも教授の斜め前に座ってしまうのでした(笑)。

  そんな昔話をしつつ、「以前、ボスは学校教育は役に立たないとおっしゃいましたが、ビジネス・スクールは楽しいですよ」と私は話しました。そうすると彼は、「あれは学部時代の勉強のことを言ったんだよ」と笑うのでした。その目尻には、7年前と変わらず、厳しさと優しさを示すしわが刻みこまれていました。
  
  

2010/10/21

時間の価値


  フランスより HAT です。今日は13時15分からマーケティングの授業があるはずだったのですが、2日前に教授から下記の様なメールがありました。

  「Dear Students、今イタリアにいるんだけど、個人的な用事で今週はどうしてもフランスに帰れなくなったの。誰か別の人が講義できるかどうか確認してるから、授業の1日前にはメールするわね。」

  結果的に、当日になっても教授からメールはなく、授業が行われるかどうかわからないままでした。一応、学生課に聞きに行ったですが、事務員の回答は以下の通りでした。

  「今日、その授業があるかどうか?そんなの私に分かるわけないでしょ。時間になったら教室に行って、教授がいたら授業があるし、いなかったらない。そういうことよ。」

  13時15分に教室に行っても教授がいなかったので、休講でした(のはず)。その後、16時30分からフランス語の授業でしたが、教授が17時になっても来ません。結局17時10分に到着したのですが、その教授の発した言葉が衝撃でした。

  「中々、ガソリンを売ってるガソリンスタンドが見つからなくて!」

  今日、その教授は車で来たらしいのですが、途中でガス欠寸前になり、ガソリンスタンドを探したのですが、ストの影響で給油できるスタンドが少なく、そのせいで遅れたとのことでした。

  その後、何事もなかったかの様に講義が始まったのですが、19時30分に終了するはずの授業が中々終わりません。学生の間に不安がよぎります。

  「この教授、授業開始が40分遅れたから、終了も40分遅らせるつもりじゃないだろうな・・・」

  寮に住んでいる学生は、20時に学校発のバスに乗る必要があるので、19時55分には教室を出る必要があります(次のバスは23時発!)。サッカー日本代表でさえ体得が難しいと言われるアイ・コンタクトによる意思疎通が、19時45分から始まります。

  インド人 → 私 → 中国人 → ドイツ人という感じでアイ・コンタクトを取り、荷物を片付けだしたり、上着を着始めるという、幼稚なプレッシャーを教授にかけはじめました。ある学生はしきりに時計を見たり、窓の外を覗いたりします。さすがに教授も気付いたのか、「そろそろ終わるか」といきなり話を中断して、19時52分に授業は終了しました。

  小走りに教室を出て、バス停に向かう途中でドイツ人と、「やっぱりこの国で働くのは無理だよな」とささやき合ったのでした。

  

2010/10/20

ないそでは振れん


  フランスより HAT です。こちらでは、年金改革に反対するストが全土に飛び火して、エセックがある田舎町セルジーでもデモ行進がありました。

  フランスでは60才が退職年齢ですが、今回の改革案により62才に引き上げられる予定です。フランスの年金制度は、第二次大戦後から殆ど変っていないと言われます。昔は18才から働き始めていたのが、進学率上昇と共に就労開始が22才前後に伸びているため、制度自体が続かないのは、普通の思考能力があれば理解できるでしょう。

  仏大統領のサルコジは、「本来だったら、退職年齢を60才から65才まで一気に引き上げてもおかしくないんだ。62才に抑えただけでも、ありがたく思え」的な言動を取っているため、ゼネストの域にまで混乱が拡大しています。

  エセックがあるセルジーに現れたデモ隊は、市役所を取り囲み、「サルコジは辞任しろ!」、「年金改革反対!」等のシュプレヒコールをあげていました。ただ、デモ隊の殆どが20代から30代前半の若年層で、平日にこの辺りにいるということは、働いていないことを意味しています。年金保険料を払っている人がデモするなら分かるけど、払っていない人達が年金改革に反対するフランスって、やっぱり少し変わってるなぁ。

  それより、明後日のアメリカ行きの便、ちゃんと飛ぶんだろうか。航空会社によっては、他の空港で燃料を多めに入れてくるところもあるみたいだけど。今回はアメリカン航空だからなぁ・・・

  

2010/10/19

私は少し日本語は話せます


  フランスより HAT です。以前、フランスが親日国であることを書きましたが、私の周りにも日本語を勉強している学生が結構います。今日、図書館の個室(KBSのグループ室に似ている)で勉強していると、同じ寮に住んでいるフランス人女性が、「HAT、ちょっといい?」と流暢な日本語を話しながら入ってきました。

  彼女は17才なのですが、飛び級でエセックに入った秀才で、慶應に留学するため日本語を勉強中です。彼女は日本語の授業で使っている教材を片手に、質問をしてきました。以下は、彼女と私の会話です。

彼女: この教材に載っている、「私は少し日本語は話せます」という文、変だと思うんだけど。
HAT: 変だね。
彼女: どう変えると自然になるかな?
HAT: 「私は少し日本語を話せます」かな。
彼女: やっぱり。「は」と「を」で、文法的な違いはあるの?
HAT: ないと思うよ。
彼女: ふうー。日本語って難しい。

  彼女は日本語を勉強してそんなに経ってないにも拘らず、教材の不自然な部分を指摘するまで理解できるようになっていました。そもそも、17才で大学院生ってどういう仕組みになっているのだろう。

  勤労意欲ゼロの人が多いフランスが、まがりなりにも先進国として扱われているのは、彼女の様な人材を生み出す仕組みがあるからかなあと感じました。今後、教育ビジネスに関わる皆さん。ビジネスで成功した暁には、日本でも彼女のようなエリートを作り出せる仕組みの構築を是非考えてみて下さい。そう言えば、エリートって単語、元々はフランス語だな。

(写真は、2009年のエリートモデル世界大会の模様)

  

2010/10/17

それでも日本に MBA が必要な理由


  フランスより HAT です。先日投稿した「日本に MBA が普及しない理由」に対して、ある方から連絡を頂きました。その内容は、「MBA が日本に普及しないと思っているあなたが、なぜ MBA を取ろうとしているのか?」というものでした。

  日本で MBA が普及しにくいとは書きましたが、MBA が必要ないとは全く考えていません。それどころか、日本ではこれからますます MBA が必要とされるだろうと考えています(正確には、海外進出を図ろうとする企業に必要とされると想定)。

  その最大の理由は、日本人が今後外国人を部下に持つ機会が増えると考えるからです。日本の国内市場が縮小することは、誰にも変えられません。そうすると、日本企業が海外に進出せざるを得なくなります。海外に出るということは、外国人を顧客にして、外国人を従業員として雇用することを意味します。

  海外で優秀な従業員を雇おうと思う場合、どうするのが一番簡単でしょうか?最も手軽なのは、MBA ホルダーを雇うことです。欧米はもちろんですが、最近では新興国でも MBA ホルダーが労働市場にあふれています。良いか悪いかは別として、日本における学部卒と同じ感覚で MBA が存在しているのです。

  海外で MBA を雇ったとして、管理者としてやってきた日本人が MBA を持っていないとどうなるでしょう?部下によっては、その上司を「MBA を持ってないくせに」と陰口をたたく奴がいるのです。信じられないかもしれませんが、私がアメリカで働いている時、実際にこの光景に出くわしたことがありました。

  リーマン・ブラザーズを買収した野村証券も、上記のようなジレンマに陥っています。殆どがMBA ホルダーの旧リーマン社員を、非MBAホルダーの野村社員が中々管理できないのです。なぜならば、MBA の有無を理由に旧リーマン社員は自分達の方が、野村社員よりも優秀であると思っているから。

  但し、野村は日本人MBAホルダーを積極的に採用し、企業派遣で MBA 留学も行っているため、時間の経過と共に状況は改善するものと思われます。野村は元々、学歴に関係なく能力で昇進が決まることで知られていました。その野村が MBA という学歴で苦しめられることになるとは。中々、世の中うまくいかないものです。

  また、同じ質問者の方から、「日本人の平均能力が高いのは分かるが、今後の世界では平均能力だけで戦うのは難しいのでは?」というコメントも頂きました。その通りだと思います。前回、「現場に判断力がある」と書いたのは、「実務が重視される」ことの裏返しのつもりでもありました。「高い平均能力」と「卓越した個の力」、この相反するものを同時に高めるのは、難しそうだな・・・


2010/10/16

☀ サマータイムの終わりに ☀


  フランスより HAT です。こちらでは、今月の終わりにサマータイムが終了します。サマータイムのおかげで、8月中は夜10時頃まで明るい状態が続いていました。
  
  日本でも1948年から4年間、サマータイムが導入されていましたが、余り馴染まなかったようで、米軍の撤退と同時に廃止されてしまいました。私はサマータイム賛成派だったのですが、今年8月に東京で1ヵ月間過ごし、なぜ日本でサマータイムが定着しなかったが理解できたような気がします。日本でサマータイムが普及しない理由は、以下の二つだと思います。
  
 ①暑すぎる
  とにかく、日本は暑すぎます。8月中の日が出ている時間帯は、外に出る気がなくなり、「とにかく早く日が沈んでくれ」と思っていた記憶があります。
  
 ②日に当たることが良いことと思われていない
  日本は美白文化で、日傘が普及していることもあり、女性は特に日に当たろうとしません。以前、取引のあった芸能プロダクションの社長によると、「ある女優は、夏の昼間は仕事以外で外出することはない」らしいです。それぐらい、紫外線の悪影響を恐れているとも言えるでしょう。
  
  フランスは逆で、老若男女問わず何とか日に当たろうとしています。エセックの中庭は吹き抜けになっているのですが、晴れの日の休み時間には、多くのフランス人学生が日光浴を楽しんでいます。フランス人の日焼けに対するこだわりは尋常ではなく、適度な日焼けを通り越して、昔でいうガングロ、ヤマンバ並みに焼けることを目指している人もいるほどです。
  
  フランス人に聞くと、「日焼けしていない人はバカンスに行けない人と思われる」と言います。つまり、「日焼け→バカンスに行ける→余裕がある→人生を楽しんでいる」ことの証明だという訳です。それに加え、日に当たらないとビタミンDが体内で作られず、骨が折れやすくなる「骨粗しょう症」になりやすいと思っている人もいるようです。
  
  昔からフランスで日焼けが良いと思われていたかというとそうではなく、ルイ14世(写真参照:男性)が生存していた17世紀には、美白が好まれていたというから中々興味深いです。ルイ14世の写真を見ると、顔が白く、白いストッキングをはいています。当時は、「日焼け = 肉体労働」と定義づけられており、貴族層は美白にこだわり、男性でもファンデーションをしていたそうです。ルイ14世が白いストッキングをはいているのも、自分の白さを際立たせるためだと、以前登場したブランド・マーケティングの教授は言います。
  
  パリ市内を歩いていると感じるのですが、フランスの高校生は色白である場合が多く、大学生になると一気に日焼けする傾向にあるようです。また、これは個人的見解ですが、フランス人女性は10代後半に美しさのピークを迎えているような気がします。
  
  以前は東京の女性が世界で一番美しいと思っていたのですが、こちらに来てパリの10代後半の女性が一番美しいと思うようになりました(ロリコンなのかな、俺・・・)。フランス人女性が20才を過ぎると、酒、たばこ、夜更かし、紫外線、そして恋愛関係のもつれ(?)によって肌が荒れていっているような気がします(こちらの若年層喫煙率はすさまじく、目測ベースでも80%はたばこを吸っているような気が)。
  
  フランスでは、挨拶で頬と頬を良く合わせるます。一見綺麗な肌をしている女性とこの挨拶をして、実際に頬が当たると意外と肌が荒れていると感じることがよくあります(かわいいと思ったパンダに近づくと、意外と目が鋭かったのに似ている)。
  
  「ルイ14世が生きていた時代に行って、美白文化全盛のフランス人女性に会ってみたいものだ。」サマータイムが終わりに近づき、夜8時前に暗くなり始めたフランスの空を眺めながら、そう思うのでした。  
  

日本で MBA が普及しない理由

  フランスより HAT です。エセックでは、1週間で科目履修できる「インテンシブ・コース」というものがあります。1週間、9時から5時まで授業に出席して、様々な課題をこなすことになりますが、短期で単位履修できるものの、中々消耗するコースでもあります。はい。

  去る9月27日から10月1日まで、「国際戦略」というインテンシブ・コースを履修しました。ケース課題が与えられ、5人1組のグループでパワポ資料の提出作業を毎日繰り返すという、こちらでは珍しく(失礼!)過酷な日々でした。

  グループメンバーは非常に国際色豊かでした。フランス人(女)、中国人(女)、レバノン人(男)、メキシコ人(男)、そして日本人(男)の5名です。こちらでは、1人がひとつケースを担当して殆どグループワークなしで、「はい、おしまい」となるパターンがよくあります。ですが、今回はなぜか(?)皆熱いメンバーばかりで、毎晩10時過ぎまでグループワークをこなす日々が続きました(1年前の経社企のプレゼンの前もこんな感じだったなぁー)。

  ある日のグループワークで、トヨタの話題になりました。私が、「トヨタの工場のスタッフは問題を発見すると、全てのオペレーションを止めることができる」ことを話すと、他の4人は皆驚いていました。

  メキシコ人が言いました。「現場の人間にそれだけ権限が与えられていたら、マネージャーは何のためにいるんだ?」

  レバノン人は続けます。「それだと、現場がビジネス・ディシジョンをしていることになる。」

  これを聞いて、私はハッとしました。日本で MBA が普及しない理由の一つに、「現場がビジネス・ディシジョンしている」ことが挙げられるのではないかと思ったからです。問題が発生すると皆で集まり、考え、議論して改善案を実施する。トヨタの工場で行われていることは、ビジネス・スクールでやっていることと同じではないかと感じたのです。

  話は変わりますが、スーパーのレジ等でも同じことが言えます。フランスでは、スーパーのレジ係が違うボタンを押したか何かで、しょっちゅう動きが止まり、恐ろしくレジの列が長くなったりします。この様な場合でも、レジ担当者は自分で何かしようとは決してせず、マイクを使って(なぜか偉そうに)責任者を呼びます。

  日本の場合、スーパーのレジ担当者がミスをすること自体余りないのですが、あったとしても隣の人が助けてくれたり、自分で何とかしようとする場合が多いです。「現場で何とかしようとする」のは、日本の強みであり、平均的な教育水準が高いことの裏返しでもあります。

  海外でもう一つ感じることは、出る学校によって初任給が大きく異なることです。欧米のトップスクール卒業者と、それ以外の学校卒業者の初任給は倍近く違うことが知られており、欧米ではトップスクールに行くインセンティブが大変強くなっています。

  日本で求人広告等を見ると、初任給の項目に 「大卒・・・円、院卒・・・円」 と明記されている場合があり、学校によって給与額が異なることは余りありません。これは悪いことではなく、入社後の競争で今後の扱いが変わるという点では、組織として健全とも言えるでしょう。

  そんな話も交えながら、グループワークでの議論を終え、最後の授業も終わって、グループで飲み会をやりました。エセックにはキャンパス内にバーがあり、ビールやワインを飲めるようになっています。同じグループのフランス人女性に、「僕が今まで見た中で、君は一番勤勉なフランス人だよ」と話しました。

  ほろ酔い気味の彼女は上機嫌にこう答えました。「あら言ってなかったかしら。私、国籍はフランスだけど、父はアメリカ人なの。」 なるほど、通りで勉強熱心なわけだ。

2010/10/14

前半(ほぼ)終了

増子@SSEです。
ここでの授業も昨日でほぼ半分が終わりました。
写真は、最終日の教授の粋な計らい。
コーヒー、紅茶、デニッシュ付きの授業でした。

SSEの授業は1コマ1時間45分。
でも、45分授業→15分休憩→45分授業という流れ。
集中力的にはとっても素敵です。

授業の中で英語でのプレゼンを初めて体験したのですが、難しいですね。
原稿は書いていったのですが、言いたいことが日本語で頭の中に。
口からすらすら言葉が出てこない。モドカシイ。
原稿読みの練習をもっとすればよかったなぁ、と後悔しました。

今日から来週の試験日まで、授業はありません。
履修したMarkets& Institutionsは試験、
Corporate Ethics& ResponsibilityはHome examというレポートです。
レポートはBPのCSR戦略について。タイムリー。。。

頑張りまーす。

ブランド品と神の関係


  フランスより HAT です。今学期は、最も苦手(!)なマーケティングを中心に履修しています。エセックはブランド・マーケティングが有名なので、そのクラスも取っているのですが、授業中にブランド品と神の関係について説明がありました。

  その昔、全知全能の神ゼウス(写真参照?)には妻と二人の娘がいたそうです。どの家庭でもそうでしょうが、子供が年頃になると何らかのいざこざが起こるもので、ゼウス家も例外ではなかったそうです(神なのに・・・)。

  ゼウス家の問題は、「妻と二人の娘の内、最も美しいのは誰なのか?」を決めることでした(くだらない!)。ゼウスは自分でその問題を解決しようとせず、美を司る神(名前忘れた・・・)に決定させることにしました(ゼウスは逃げた)。

  美を司る神は言います。「誰が美しいかを決めるのは、大変骨の折れる作業だ。その前に、あなた方から私に対して何かを与えてほしい。」(← こいつも神なのにとんでもないこと言うな。)

  ゼウスの妻は言います。「私はあなたに成功を与えます。」

  ゼウスの上の娘は言います。「私はあなたが良き親になれるような環境を与えます。」

  ゼウスの下の娘は言います。「私はあなたの望む最も美しい女性を与えます。」

  美を司る神も人の子。ではなく、神の子なのに、最も俗人的な提示を行ったゼウスの下の娘を、「三人の内で最も美しい女性」に選びます。

  美を司る神に対して提示された三つが、女性の求める全てであり、ブランド品のマーケティングはこれらに基づいて行われていると教授は言います。女性の求める全てとは、「成功」、「良き母親になること」、「完璧な美しさ」の三つであり、時代、地域によって差異はあるものの、ほぼ全ての女性にあてはまるらしい。

  そう言えば、日本の女性雑誌を見ていても、そうだったような気が。15才から24才向けは「美の追求」、25才から34才向けは「美と成功の追求」、35才からは「美と成功と幸せな家庭の追求」という風に、表紙の女性を見るだけでも区分されていた記憶があります。

  ブランド品の広告を見ると、必ずこの三つの要素のどれかが意識されているらしく、昔も今も女性が求めるものは変わらないとの話でした。一方で、男性は「成功」と「美」の二つを求めると教授は締めくくりました。

  いつものように、最後の質問コーナーで私は発言しました。「男性は良き父親になることを求めないのか?」

  教授は言います。「男性が成功と美を手に入れたらどうなる。自動的に父親になる下地は揃うのだよ。ゼウスの時代は、複数の女性との間にたくさんの子供がいることが権力の証だった。」

  私は言いました。「日本でも、150年前までは似たような仕組みがあった(江戸幕府の大奥のこと)。」

  教授は返答します。「今も変わってないと思うけどね。」中々、面白い授業です。
 

2010/10/12

マンガフェア@パリ



9月18日~19日までの2日間に開催されたマンガフェアに行きました。このイベントを知ったのはメトロでの宣伝ポスターでした。アメリカマンガと日本マンガが描かれていましたが、実際に行くと、圧倒的に日本のマンガの方が人気があった。アメリカマンガ:日本マンガの比率も2:8ぐらい。少量ながら、韓国、中国マンガもありました。
会場では、コスプレヤーで賑わっていました。会場は色んなセッションに分かれていまして、コンサートエリア、ゲームエリア、ダンスエリア、カラオケエリア、フィギュア・グッズエリア、囲碁・麻雀エリア、プリクラエリアがあります。

<コンサートエリア>流暢に日本語のアニメソングに似ているような歌を歌っていました。ギター、ドラム、ベースを含めたグループだった。レベル高いと思います。

<ゲームエリア>ストリートファイターの一番古いバージョン(20年前子供の時に遊んだ)から最新バージョンまでそろっていました。上手にやってたフランス人の方がいました。
<ダンスエリア>約30人でパラパラダンスのようなダンスしていました。
<カラオケエリア>アニメソングのカラオケです。ドラゴンボールの歌を熱唱していました。会場が盛り上がりました。

<フィギュア・グッズエリア>たくさんのグッズが売られていました。

<囲碁・麻雀エリア>囲碁と麻雀のやり方を指導するスタッフがいました。

コスプレヤーが囲碁をうっていました


麻雀(中国式でした)も


<プリクラエリア>フランスのギャル!?


フランス人がアニメやマンガが好きだと聞いたんですが、初めてこの会場で実感しました。現在、世界のマンガ文化の中心は日本なので、日本企業にとってもビジネスチャンスがたくさんあると思いました。

頑張らずに結果を出せるか?


  フランスより HAT です。図書館で調べ物をしていたら、フランス文化について面白い記事を発見しました。内容は、アメリカ人、日本人、フランス人の働き方と価値観を比較検証したものです。その記事によると、アメリカ人は結果を重視するが、日本人は頑張ることを重視する傾向にあるそうです。この分析は中々的を得ていて、過去の経験から考えても当っている点が多いです。

  10年近くアメリカの企業で働いていたせいか、私は完全に結果主義者になってしまいました。ハワイに住んでいた時、ホームステイをしていたのですが、そこに小学生の子供がいて、テストの成績が悪いと彼は両親からこう言われていました。「次は良い点をとりなさいよ」。彼の両親が気にしているのは結果だけでした。

  学部生時代、神戸の進学塾でアルバイトをしていたのですが、そこの塾長はテストの成績が悪かった子供に対して、いつもこう言っていました。「もっと頑張らなきゃだめじゃないか」。塾長は頑張ることを求めていたのでした。
  
  アメリカと日本のどちらが良いのかは分かりません。それぞれ一長一短だと思います。
  
  アメリカで働いていた時、ある人物のミスにより、システムが一時停止したことがありました。問題を起こした張本人が会議で、「今後問題が起らないようにするためにはこうすべきだ」と悪びれる素振りもなく、プレゼンをする姿に私は違和感を覚えたものでした。
  
  日本で働いていた時も似たようなことはあったのですが、その場合、「どうしてこの問題が起ったのか」という問いがあって、その後で「今後同じ問題を起こさないためにはこうしよう」という話の持って行き方だったと思います。
  
  話が少しそれましたが、フランス人はどのような価値観で働いたり、勉強するのでしょうか。記事によると、フランス人は頑張らずに結果を出そうとする(!)のだそうです。子供を持つ親たちも、一生懸命勉強して良い成績を収めるよりも、余り努力せず結果を出す方を好むそうです(あくまでこの記事の話)。
  
  フランスでは勉強せずに良い成績を収めると、「うちの子は勉強しなくても、成績が良い!」と親は大変喜ぶそうです。こちらでは勉強するのがかっこ悪い的な空気が時々流れるのですが、それが文化のためだったとは!まあ、フランス人でもちゃんと勉強する人は当然ながらいるので、一般化はできませんが、興味深い記事でした。
  
  皆さんもフランスに来られた時、非効率な仕組みに驚かれたり、疲れたりすることがあるかと思います。その時は、こう考えましょう。「この国は頑張らずに結果を出そうとする国なのだ」、と。
  
  仏大統領のサルコジは、「頑張って結果を出そう」という方向にフランスを変えようとしている、とその記事は書いていました。今日、寮の管理人に掃除機を借りたら壊れていたので、換えてもらおうと思ったら18時まで開いているはずの管理人室が17時半には閉まってました。サルコジには是非頑張ってもらって、「頑張って結果を出そう」とする社会に変えてもらいたいと思った夕暮れでした。
  
  でも良く考えたら、18時まで開いているはずの管理人室を17時半に閉めてるのは、頑張る以前の問題だよな。まぁ、いいか。ここフランスだし・・・

2010/10/11

ここ3週間の総集編

こんにちは。村井です。
しばらく更新ができていなかったのですが、Reimsに来てはや3週間が過ぎました。

先週で、セッション0のStarategyの授業が終わりましたが、グループワーク、プレゼン(計3回)、ビジネスゲーム、2時間のペーパーテストと3週間フルコースでした。最後のペーパーテストは、戦略のフレームワークやコアコンピタンス理論に関する説明をちりばめながら設問の問いに答える形式で、英語で2時間書き続けるテストだったため、結構骨のある内容でした。前日に戦略のフレームワークに関する単語を覚えてからテストに臨んだのが役に立ちました。評価の比重はビジネスゲームとペーパーテストが各4割ずつ、クラス貢献が2割となっています。

平日は集中科目なので忙しいのですが、週末は自分の時間を持つことができたため、9月初旬に使い始めた鉄道乗り放題のユーレイルパスの続きを使って南仏やストラスブールを旅行してきました。南仏は金曜日の夜にパリから寝台列車(lunea)でニースに移動し、更にそこからモナコまで足を延ばした後、カンヌ、マルセイユ(1泊)と戻りながらそれぞれの街を散策しました。9月初旬の氷河特急乗車の際は、予約が必要な区間全てを事前に手配して行きましたが、南仏は行きの寝台列車だけ予約して行きました。それ以外の区間は気ままに駅の窓口でTGVの予約を入れました。TGVなどの予約が必須の電車はユーレイルパスで予約できる座席数に限りがあり、乗りたい列車に必ず乗れるという保証がありませんので、時間に余裕をもってスケジューリングするか、完全にスケジュールを組んで列車の予約をしてから行く必要がありますが、今回は乗ろうと思っている列車の1本前とか1本後で予約を入れることができたので大きな問題にはなりませんでした。あと、マルセイユ⇒パリ⇒Reimsの乗り継ぎの際もパリ市内からReimsまでのTGVは予約できず、シャルルドゴール空港からTGVに乗って帰りましたね。ユーレイルパスの利用でなくてもパリ発のTGVが満席の場合は、少し面倒ですがシャルルドゴール発という選択肢もあります。シャルルドゴールからの行き先は色々あります。
なお、レイルパスが使えず当日別途切符を買う場合に関しては、例えばマルセイユ⇒パリなどの長距離だとかなり高額になるので注意が必要です。(ちなみにパリ⇒Reimsの正規運賃(2等)は30ユーロくらいです。但し、ユーレイルパスは空きがあればどの列車でも1等が利用できます。)
以下5枚の写真は上からニース、モナコ、カンヌのレッドカーペット付近、マルセイユ、ストラスブールです。


ストラスブールは日帰りでしたが、ドイツとの国境に近いため、多くの面でドイツの雰囲気を感じることができました。南仏とは全く趣が違います。日本の場合はどこに行ってもそれほど大きく変わることはありませんが、ヨーロッパでは同じ国でも地域によって大きな違いがあるので興味深いですね。


こちらに来て思うのですが、パリ以外では英語が通じないことがよくあるので、簡単なフランス語会話を学んでおくと良いですよ。私の場合は、第2外国語がフランス語だったのですが、10年以上もブランクがあったので、Reimsに来る前に3週間パリでフランス語の語学学校に通いました。もちろんビギナークラスでしたが。1週目は先生が何を言っているかほとんど分からなかったのですが、2週目以降になると簡単な日常会話は聞き取れるようになってきました。相手の言っていることが分かるようになると、一人でも安心してフランスの地方を旅行できますし、フランスでの滞在が数倍楽しくなります。(もしもの時のためにフランス語の電子辞書は必ず持ち歩いていますが・・。)

2010/10/10

戦う民主主義と表現の自由


  フランスより HAT です。最近、話題になっているのはイスラムの伝統衣装であるブルカ(写真参照)です。フランス政府はこのブルカを、「女性を従属させる象徴」として禁止する法案を成立させました(正確にはブルカではなく、「全身を覆う衣装」と法律では定義されている)。

  これについて、フランスの違憲審査機関である憲法会議は、「おおむね憲法違反にあたらない」という見解を示し、来年から公共の場所(学校、公道等)でブルカを着用すると罰金を科せられることになりました(ブルカ着用を強要させると禁固刑もあり)。

  皆さんの中にはこう思う方がいるかもしれません。「あれ?フランスは民主国家でしょ?信教の自由と表現の自由は保障されているはずじゃないの?HAT さん、言いたいことを言いまくるあなたがそんな国にいて大丈夫?」

  日本では信教の自由と表現の自由が憲法で保障されているため、ブルカ禁止法案を制定することはできません。フランスも日本と同じ民主国家なのに、なぜ特定の衣装を禁止させることができるのしょうか。

  今回のブルカ禁止法案の背景には、「戦う民主主義」という概念があります。戦う民主主義を一言で表すと、「自由の敵に自由を与える必要はない」ということです。ブルカは女性を従属させるために、男性が強要させている衣装とフランスでは考えられており(実際にはそうでない場合ももちろんある)、「ブルカ=自由の敵」であると判断された訳です。

  戦う民主主義の概念からすると、ブルカを着たり、強要させる者は自由の敵であり、彼らに自由を与える必要はなく、法律によって取り締まるべきということになったのです(ブルカ着用者は中に何を隠し持っているか分からず、テロリストに都合が良い服装だから禁止されたとする説も一部にはあり)。

  戦う民主主義は、元々ドイツで生まれました。ドイツでは、ヒトラーやナチスを肯定すると刑法によって裁かれます。ヒトラーやナチスは「自由の敵」であり、彼らを肯定する者に自由を与える必要はなく、法律によって罰する必要があると考えられたのです。フランスでも、ホロコーストを否定すると刑法で罰せられます。この様な歴史的背景から、欧州では戦う民主主義に基づいて法律を制定している国が多くあります。

  戦う民主主義については、様々な議論があります。一つ例を挙げると、ホロコーストでの犠牲者数について自由な検証ができないというものがあります。戦後、ドイツ軍が資料を残さなかったこともあり、ホロコーストの犠牲者数について複数の説があります。ある人が調査を行い、「犠牲者数はもっと少なかったはず」という説を仮に唱えると、「ホロコースト否定論者」としてドイツやフランスで罰せられる可能性があるのです。このような状況から、歴史学者によっては自由な議論を求めて、アメリカに移った人もいます。

  私も欧州に来るまで、「戦う民主主義」について中々理解ができませんでした。表現の自由を多少犠牲にしてでも、別の自由(とされるもの)を守ることが正しいとされる社会に初めて住んで、戦う民主主義が少しずつ分かってきました。「戦う民主主義」と「表現の自由」、この相反する考えについて皆さんはどのようにお考えでしょうか。一つ言えることは、日本は世界的に見ても、表現の自由が固く保障されている社会ということでしょう。

2010/10/03

Tuckの建物たち

すでに晩秋のハノーバーから、たまには写真をアップします。

タックの看板


タックの正面玄関 結構かっこいいです。重々しく、重いドアをあけると、重厚な感じの空間が続きます。
正面玄関の礎石には1900年と創立年月日が刻まれています。今週は、タックリユニオンといって、卒業後5,10年目のOBがタックまで集まってくるイヴェントがひらかれてますが、たくさんのOBがこの玄関で写真をとっていました。


これはタックの図書館。ガラス張りのところに閲覧席が並んでます。二階はすいているのでよく空き時間に利用します。2階は個別ブースになっていて、私のお気に入りはブースの後方にソファが置いてある席で、ルームメイトはもこのスペシャルシートといってます。昼間は日差しが適度に入り睡魔を誘う席でもあります。


これはダートマス大学のシンボル?の教会兼時計台 夜11時ぐらいまでリンゴンなってます。

これが名物??のダートマスグリーン 上記の教会の前にどかんとひろがってます すでに晩秋のハノーバーですが、暖かい日にはここで日向ぼっこをしているひとがたくさんいます。
とまあ、学校の建物の感じはこのようなかんじでとてもきれいです。ウオートンの建物と比べるとだいぶ新しいですが、いかにも東部の建物といった感じで私は割りと好きです。次回はほかの事をアップします。