2010/10/14

ブランド品と神の関係


  フランスより HAT です。今学期は、最も苦手(!)なマーケティングを中心に履修しています。エセックはブランド・マーケティングが有名なので、そのクラスも取っているのですが、授業中にブランド品と神の関係について説明がありました。

  その昔、全知全能の神ゼウス(写真参照?)には妻と二人の娘がいたそうです。どの家庭でもそうでしょうが、子供が年頃になると何らかのいざこざが起こるもので、ゼウス家も例外ではなかったそうです(神なのに・・・)。

  ゼウス家の問題は、「妻と二人の娘の内、最も美しいのは誰なのか?」を決めることでした(くだらない!)。ゼウスは自分でその問題を解決しようとせず、美を司る神(名前忘れた・・・)に決定させることにしました(ゼウスは逃げた)。

  美を司る神は言います。「誰が美しいかを決めるのは、大変骨の折れる作業だ。その前に、あなた方から私に対して何かを与えてほしい。」(← こいつも神なのにとんでもないこと言うな。)

  ゼウスの妻は言います。「私はあなたに成功を与えます。」

  ゼウスの上の娘は言います。「私はあなたが良き親になれるような環境を与えます。」

  ゼウスの下の娘は言います。「私はあなたの望む最も美しい女性を与えます。」

  美を司る神も人の子。ではなく、神の子なのに、最も俗人的な提示を行ったゼウスの下の娘を、「三人の内で最も美しい女性」に選びます。

  美を司る神に対して提示された三つが、女性の求める全てであり、ブランド品のマーケティングはこれらに基づいて行われていると教授は言います。女性の求める全てとは、「成功」、「良き母親になること」、「完璧な美しさ」の三つであり、時代、地域によって差異はあるものの、ほぼ全ての女性にあてはまるらしい。

  そう言えば、日本の女性雑誌を見ていても、そうだったような気が。15才から24才向けは「美の追求」、25才から34才向けは「美と成功の追求」、35才からは「美と成功と幸せな家庭の追求」という風に、表紙の女性を見るだけでも区分されていた記憶があります。

  ブランド品の広告を見ると、必ずこの三つの要素のどれかが意識されているらしく、昔も今も女性が求めるものは変わらないとの話でした。一方で、男性は「成功」と「美」の二つを求めると教授は締めくくりました。

  いつものように、最後の質問コーナーで私は発言しました。「男性は良き父親になることを求めないのか?」

  教授は言います。「男性が成功と美を手に入れたらどうなる。自動的に父親になる下地は揃うのだよ。ゼウスの時代は、複数の女性との間にたくさんの子供がいることが権力の証だった。」

  私は言いました。「日本でも、150年前までは似たような仕組みがあった(江戸幕府の大奥のこと)。」

  教授は返答します。「今も変わってないと思うけどね。」中々、面白い授業です。
 

2 件のコメント:

  1. 毎回めちゃくちゃ面白いです。
    質問しているHATさんの姿も目に浮かびます。

    しょうたか

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  2. ありがとうございます。
    できるだけ楽しく読んでもらえるよう頑張ります。

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