2010/10/27

速くならない飛行機


  フランスより HAT です。先日、ボストンに行ってきましたが、改めて米国は飛行機大国だなぁと感じました。飛行機を製造しているメーカーは、世界で米国のボーイングとフランスのエアバスしかありません。エアバスが技術提供した中国メーカー製の飛行機が中国国内を飛んでいるらしいのですが、今のところ中国以外で飛行許可が下りる見込みはないそうです。

  さて、飛行機に乗っていていつも思うのは、「中々、着かないなー」という虚無感です。技術的には飛行機の速度をもっと上げられるのですが、これ以上速くすると空港がパンク状態になって離着陸の制御ができないため、飛行速度が変わらないらしいです(生産政策の授業で、「速すぎても遅すぎてもいけない。速く作りすぎると工場の後ろが詰まる」っていうのがあったよなぁ。鍋屋バイテックだっけ?それと同じ論理か?)。

  また、ボーイングとエアバスの二社が世界市場を寡占しているため、彼らに技術革新やコスト削減のインセンティブが少ないのも速度不変の理由とも言われています。コカ・コーラとペプシの関係と同じで、二社寡占の場合に一方が価格を下げると、結局どちらにとっても良くない結果が起こるという経済学上の論理が、空の世界でも現実になっている訳です。
 
  それに加え、2001年9月以降世界中の空港が防犯を強化して、乗客が飛行機に乗るまで時間がかかるようになって、更に飛行速度を上げる意味がなくなったと言われています(乗客の空港滞在時間が長くなり、更に込むようになったということ。この状態で飛行速度を上げると、もっと乗客が増え、空港がパンクすることになる)。

  信じられないことに、2001年9月以前のアメリカでは殆ど防犯チェックもなしに乗客が飛行機に乗っていたと言われています。私のアメリカ人の同僚によると、「テロ以前は、預入荷物がなければ、15分前に空港入りしても飛行機に乗れた」と言っており、いかに現在と違っていたかを物語っています。

  今回、ボストン入りする時に税関で指紋を取られ、ボストンを出る際には「靴を脱げ」と言われ、空港での防犯体制が強化されることはあっても、ゆるくなることはなさそうです。「空の旅を快適にする方法はあるのだろうか?」と考えてみたところ、「成功してファーストクラスに乗るしかないなぁ」という結論に達しました。アメリカン航空の狭いエコノミー席で、半年後の社会復帰に向けて、ひそかに意気込みを誓う自分がいたのでした。

  

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