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フランスで学校に通っていると結構、企業の影が見え隠れする。学校のサークル活動には企業がスポンサーとしてついているし、一定数の学生は apprenticeship (見習い)として週2日企業で働いて、3日学校へ行き、全ての費用は企業負担だったりする(KBSでは時間的に無理だな・・・)。
ESSEC が特殊な学校だからかもしれないが、こちらの正規学生は企業から至れり尽くせりの待遇を受ける。日本やアメリカで学生をしていた時は考えられなかったような状況だ。
人間不思議なもので、学生のころ企業から良い扱いを受けていると自分が経営者になった時、「自分も助けてもらったから、次の世代にも援助しよう」と思えるらしく、社会としては好ましい姿かもしれない。
但し、前述の apprenticeship (見習い)にしても、学生支援によって企業が税制上の優遇を受けられることが直接的な要因と考えられる。こんなことを指摘すると、KBSのTS先生から「お前はいやしい」と怒られそうだが。
さて、こちらの授業ではマーケティング、戦略等あらゆる授業で CSR の話が出てくる。「欧州では CSR をしないことは認められない」と豪語する教授もいるくらいで、「CSRが必要かどうか」という議論は余り聞かれない。
マイクロソフトのビル・ゲイツが様々な慈善事業を行っているが、これも CSR と考えられなくもない。ビル・ゲイツはマイクロソフトの大株主として巨額の配当金を受け取り、それを慈善事業に費やすことでマイクロソフトの宣伝になる。
ビル・ゲイツは新興国で多くの慈善事業を行っており、「今後の成長が見込める国々へマイクロソフトが進出するための投資だ」と揶揄するメディアもあるくらいだ。アメリカでは寄付行為が税制上控除されることもあり、ビル・ゲイツ本人にとってもマイクロソフトにとっても慈善事業は意味があると考えられる(TS先生の指摘は認識の上だ)。
さて、CSR の例として面白いと思ったのがカルフールだ。日本では余りうまくいかなかったこの小売りチェーンは南米で大きな成功を収めた。特にコロンビアでは国連と協力して、コカイン農園を小麦や野菜を栽培する土壌に変えたことで知られている。
コロンビアでは大きな小売り業者がなく、日本でいう商店街のような流通システムになっていたようである。都心から離れた農家は、小麦や野菜を作っても最終消費者まで届けるインフラがなかったため違法な植物栽培に走っていたとのこと。
カルフールは国連とコロンビア政府と協力して流通インフラを整備し、郊外の農作物を都心のカルフールで販売する仕組みを作り上げたのである。これにより、コカイン農家は合法的な作物を栽培する農家に変身して、コロンビアの違法植物栽培量は劇的に下がったらしい。
伝統的な小売業者はカルフール登場で大きな痛手を被っただろうし、また以前から農作物を栽培していた人達にも負の影響は及んだだろう。完璧な経営はないと言われるが、CSR の例としてカルフールがコカイン撲滅に一役買ったことは興味深い。
こちらのスーパーで驚くのは、ブドウ等の果物を買う前に顧客が味見をしていることだ。日本でこれをやると捕まりかねないと思うが、これも文化の違いだろう。いやはや、ところ変われば企業の姿勢、CSR 、味見の仕方等いろんなものが変わるものである。
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