2011/01/17

子供手当と金利


  フランスより HAT です。改造、再改造とラジコン・カーの様に改造される管内閣。この3月末にかけて、予算関連法案をどのようにして成立させるかが鍵となっています。

  さて、昨年度に肝いりで始まった子供手当。これも時限立法のため、関連法案が国会を通らなければ廃案となり、児童手当が復活する可能性も出てきました。

  現金支給は経済政策として殆ど効力がないことは証明済みでありながら、これに振り回され実務を取り仕切る地方役所はたまったものではないでしょう。子供手当がどのように使われたかはこれから統計が出てくるでしょうが、日本の場合、二つの使われ方があると思います。

  ローンがある家計はその返済に使い、ない家計は貯蓄に回す。ローン返済と貯蓄はデフレ経済下においては最も合理的な行動で、個人の行動としては全く間違っていません。しかしながら、全員でやると更にデフレに陥るといういわゆる「合成の誤謬」になりかねない行動でもあるのです。

  逆にインフレの時に現金支給すると、早く物を買うことが合理的な行動になることから消費が刺激され、更にインフレを加速させる可能性がある。これらの理由から、現金支給が「最悪の経済政策」と言われるのである。

  現政権は国債を発行して子供手当を支給していることから、デフレ推進政策を取っているに等しく、再度「デフレ宣言」が出されたのは至極当然とも考えられる。また、政権交代がなされた2009年後半から、八ッ場ダムをはじめとする公共事業の執行停止がなされ、必然的に国内のデフレ・ギャップ(需要と供給の差)は広がることになった。その証拠として、日本の長期金利は昨年再び1%を割り込んだのである。

  日本の場合、政治家が金利状況を含めながら国民に説明をすることは稀である(麻生元首相は時々言ってたな)。一方、アメリカの政治家は結構金利を気にしていて、演説等でも話に出したりする。アメリカでは金利が下がると住宅ローンの借り換えをすることが一般的なので、政治家にとっても金利動向が重要なのかもしれない。

  また、財政赤字の絶対額の大きさを論じてギリシャと同等視する識者もいるが、ここでも金利の話は余り出ない。ギリシャは金利が急上昇(国債価格は暴落)していたため、財政再建するのは当たり前の話だった。

  今後も消費税を含めて様々な話が出てくるであろうが、金利と絡めると経済政策のとらえ方が面白くなってくる。「日本の財政は危機的状況だから、消費税を上げなければならない」という考えは至極まっとうに聞こえるが、本当だろうか?

  1997年にも同じスローガンで政府は消費税を上げたが、結果として財政再建どころか、名目的にも実質的にも財政赤字は増えた。当時も赤字の絶対額だけが議論され、金利の話は殆どなかった。子供手当等の経済政策についても、是非金利と絡めて議論して欲しいものである。

    

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