2011/01/22

35時間労働の結末


  フランスより HAT です。フランスは週35時間労働が採用されており、他の先進国が40時間であるのに比べ、5時間少ないのです。

  「週5時間くらいであればそんな変わらないだろう」と思われる方がいるかもしれないが、これは結構な差である。

  こちらではスーパーや銀行も昼休みを取るところが多く、小さな個人商店だと昼の12時から15時まで休憩の場合もある。昨日行った郵便局も12時から14時まで閉まっていた。

  週35時間労働であるため、9時から連続勤務すると16時までしか職場にいられない。その結果、昼休みを長く取ってシフト制をしいたり、時短勤務にして何とか週35時間にしているわけだ。

  週35時間労働が導入されたきっかけは、高止まりする失業率への対策であった。以前、日本でも話題になった「ワークシェアリング」の意図が背景にあったとされる。

  仮に従業員7人の店があって、週40時間労働であれば合計280時間(40×7)の労働がなされていることになる。週35時間労働導入によって、280時間の労働力が必要な店はもう一人雇い、合計8人で280時間労働(35×8)を回すのではないかと政府は考えたようだ。

  しかしながら、結果は裏目に出たようだ。経営者は従業員を7人から8人に増やすのではなく、人員はそのままで前述の通り、営業時間を減らす方策を取った場合が多かったようだ。

  つまり、合計労働時間を280時間で維持するのではなく、営業時間短縮により合計労働時間を245時間(35×7)にする判断をしたわけだ。

  社会全体で見ると、供給が減ることによって経済は縮小し、失業対策で取られたはずの政策が完全に逆の作用を生んだことになる。

  既に仕事がある人にとっては労働時間が短くなっても、給料は変わらないので個人としては良い政策となる。しかし経済全体にとっては負の作用となり、いわゆる合成の誤謬を政府が助長したと言えなくもない。

  では、デフレにあえぐ日本で週35時間労働を導入したらどうなるか?これは自分の勝手な仮説だが、供給過剰状態が緩和されデフレギャップ(需要と供給の差)が縮小する可能性があるため、以外と使える策かもしれない。

  但し、労働時間が短くなっても皆が遊んでお金を使わないと意味がないので、そこは国民性も考えないと駄目なのかなあ。

  まあ、そんなこんなで色々考えたが、皆さんも成功した暁には贅沢してお金を使って下さい。それが一番日本のためになる行動のような気がするな。

  

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