2011/01/28

彼らは我々のために働く


  フランスより HAT です。去年、ボストンに行った時テレビで繰り返し放送されていたCMがあった。内容な以下のようなものだ。

  中国でとある集会が開かれている。演説しているのは毛沢東に似たリーダーと思われる人物。彼は流暢な英語でこう述べた。

  「今や米国債の多くを中国が保有している。言い換えると、アメリカの長期金利をコントロールしているのは我々だ(中央銀行がコントロール可能なのは短期金利だけ)。彼ら(アメリカ)は我々(中国)のために働く。利払いという労働によってね。」

  この演説の後、聴衆は起立して大拍手。話をしていたリーダーはカメラに向かってほくそ笑むというある意味、気味の悪いコマーシャルだ。

  CM の意図としては、膨れ上がる米国の財政赤字への警告だったと思われる。アメリカではこの類の意見広告が結構流れている。経済学者が連名で、中央銀行批判広告を新聞に載せることも一般的だ。

  自分が興味を持ったのは、誰がこの CM のスポンサーかということだ。真っ先に思い浮かんだのは、議会へのロビイストだ。問題は何のためのロビイングなのかという点だろう。

  財政赤字に警報を鳴らすということは、金利が上がると困る人達の可能性が高い(赤字が行きすぎるとどこかでインフレが生じ、金利が上がるから)。

  金利が上がって困る人?銀行じゃないか。現状のゼロ金利によって最も恩恵を受けているのは、利ザヤを稼げる金融機関である。また、金利が上昇すると国債価格は下がるから、米国債を大量保有している金融機関は低金利を望む傾向にある。

  将来的に金利が上がりすぎると利ザヤが取れなくなり、財務上も問題になるからそろそろブレーキをかけましょうということなのか。勝手な自分の仮説だが、皆さんは誰がこの CM のスポンサーだと思われるだろうか?妙案があれば、是非教えて下さい。

   

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