2011/01/05

言葉以外の伝達手段

  
  フランスより HAT です。「高コンテクストと低コンテクスト」、皆さんもお聞きになった言葉と思いますが、こちらの授業ではこれがしょっちゅう出てきます。組織、マーケティング、戦略とあらゆる授業で取り上げられるのはフランスが大陸国家であり、他文化理解が必要な歴史をたどったからでありましょうか。

  前職の研修でもこの概念が何度も出てきたのは、様々な文化を持つ人達がいたことの裏返しかと最近は思っています。アメリカではハグ(軽く抱き合う仕草)は親しい間柄で挨拶ですが、これを日本で異性にするとセクハラ扱いになることもあり、「コンテクスト」を知ることは結構重要なことかもしれません。

  日本は「高コンテクスト」の典型であり、言葉以外の動作がコミュニケーションの重要な部分を占める社会であります。新人研修の時に教わるお辞儀の仕方(15度、30度、45度)やタクシーの座席、エレベーターのポジション等は「高コンテクスト」の象徴でありましょう。フランスはどちらかと言えば「低コンテクスト」に属しており、議論好きで、時折対立を楽しんでいるのではないかというくらい言葉のやり取りを交わす社会であります。

  例外と考えられるのは男女交際の始まり方で、日本では「付き合ってくれ」の言葉がカップル誕生の条件とされることもあり、これは「高コンテクスト」とは相反する文化であります(はっきり言葉にしているから)。

  一方、フランスの場合、挨拶で頬を二回くっつけることが一般的です(男性から女性に行くことが礼儀だが、時々男同士でもやっている)。 好意を持っている相手とは唇に近いところで頬がくっつくので、徐々に距離を詰めていき、「カップル誕生!」となることが多いらしい(詰将棋みたいだ)。

  ここでは「付き合ってくれ」という言葉はない場合が殆どで、英語でもフランス語でもこれに該当する表現はないんじゃないかな(間違ってたらごめんなさい、その代り「愛してるよ」と一日何回も言うな)。この事実も「低コンテクスト」とは矛盾しており、ひとくくりに「コンテクスト」で社会をまとめるのは困難であります。

  フランスは時に「愛の国」と呼ばれ、キャンパス内でも愛が誕生したり崩壊する場面が見られます。日本の男性陣も愛している人には言葉と花束を贈りましょう(低コンテクストと高コンテクストの融合)。  
  

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