2010/09/09

バカンスは日本を救う?


  フランスより HAT です。今日は学校のイベントでノルマンディーまで行ってきました。ノルマンディーはカマンベールチーズで有名です。第二次大戦中、ノルマンディー上陸作戦に参戦した米軍の兵士達がカマンベールチーズの美味しさに感銘を受け、その後世界に散らばった彼らがカマンベールチーズを広めたと言われています。前置きはさておき、ノルマンディーでは9月上旬でもバカンスを楽しんでいる人が結構いました。このバカンスが、日本を救うのではないかと最近感じております。
  フランスでは2年以上働くと、5週間の休暇が与えられます。エセックも7月23日からまるまる1ヵ月休みに入り、留学生担当等を除き、ほぼ閉鎖状態にありました。フランスのバカンスは歴史的な意味もあり、1937年に人民解放戦線が有給休暇を法律で義務付けたことが始まりと言われています。このような話を日本人にすると、「休みすぎ」、「そんなことをしてたら経済が成り立たない」等の否定的見解が殆どですが、本当にそうなのでしょうか?私は逆に、日本人が有給休暇を取らないことにより、経済全体に悪影響を及ぼしているという考えを持っています。
  日本では1997年からデフレ・ギャップが問題視されていますが、実は1970年代後半から始まっていたという研究結果があります。有給どころか、土日さえ休まなかった(?)我々の両親の世代の働きぶりにより、日本は経済成長を成し遂げましたが、国内で供給過剰状態を作り出しました。つまり、買いたいと思うもの、量よりも実際に売られている分が多すぎるということです。国内で消化できない供給は、当然外国に活路を求めることになりました。
  1980年代初頭までは購買力平価よりも円安状態にあったため、輸出によってデフレ・ギャップが埋められていましたが、1985年のプラザ合意で苦しくなりました。80年代後半はバブルによって、供給過剰状態は見えにくくなっていました。90年代に入ると、デフレ・ギャップを埋めるために政府が財政出動を行い、97年に財政再建に入るまでデフレという言葉はメディアにも殆ど登場しなかったと言われています。
  円高で大変だと日本は大騒ぎですが、デフレで通貨(円)の価値が上がり、外国が金融緩和を行って外貨(ドル、ユーロ)を刷りまくっている訳ですから、円高圧力は歴史的に高い状態と言えるでしょう。円高を本当に阻止したいのならば、政府の口先介入等ではなく、デフレ(=供給過剰)を止める必要があるわけです。
  そのために、日本全体で有給を消化して、休暇を楽しみ、お金を使う必要があります。海外旅行が好きな人は世界各国で休暇を楽しむことで、円高を緩和することさえできるのです(外貨を買うから)。
  法令順守、コンプライアンスが重視される日本で、なぜ有給休暇が消化されずにいるのか世界中が不思議に思っています。皆さんが経営者になられた際には、社員全員(勿論、皆さんも)に有給消化を義務付けるようにして下さい。日本で10年以上勤めた人は、20日の休暇が与えられることになっていますが、全員がこれを消化すれば新しい産業が生まれ、デフレ・ギャップを緩和することに繋がるはずです。フランス人にできて、日本人にできないとはとても思えないのです。

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