イスラエルより HAT です。イスラエルでは3人集まると4つの意見が出ると言われており、自由な議論が活発に行われています。とは言え政治がユダヤ教の影響を受けているのも事実であり、日本でも常に議論となる政教分離の問題はこの国でも存在しているようであります。
ユダヤ人の友人曰く、イスラエルは超民主国家だそうです。一院制で徴兵制があるこの国では、国民全員が常に国防を意識し、「いざテルアビブ」となった場合、一致団結して問題に対処することから、超民主国家と呼んでいるとのこと。
周辺国が絶対王政であったり、独裁社会であることから、イスラエルは民主国家であることが合理的であるということを証明したいのかも。こちらに来て初めて知ったのだが、アラブの幾つかの国(例:サウジアラビア)では、人権という概念がないらしい。
オックス・フォード大学の Paul Collier 教授が書いた、「Wars, Guns, and Votes(写真参照)」という著作を先日ロンドンで購入したが、これはなかなか興味深い。元々「The Bottom Billion」という本の著者でアフリカを研究する経済学者であるが、彼によると最貧国では民主主義が逆に問題を複雑にしているとのこと。
サダム・フセインがいた前と後のイラクを比べて、どちらがイラク国民にとって幸福な社会であったかは色々と議論があるだろうが、Collier 教授が指摘しているのは正に現在のイラクの様な状況である。民主主義が有効なのは、立法、行政、司法がそれぞれ機能している場合であって、そうでない社会においては賄賂、買収、八百長が選挙や裁判で横行するため、貧しい者が更に困窮するとのこと。
この著作とは関係ないが、中国が金融危機の影響を他国ほど受けなかったのは、民主国家では考えられない大規模な財政出動と金融緩和を短期に行ったからであると何人かのアナリストは話しています。日本では1999年に日銀法が改正され、政府が金融政策に介入できない制度が整えられました。しかしながら、1999年は日本がデフレに苦しみ出した時であり、日銀法改正のタイミングとしては「最悪」と指摘する識者もいるくらいである(2001年のゼロ金利解除等の失政があったため)。
民主国家では独立した中央銀行が健全な経済を構築すると信じられているが、短期的に見るとそうとも言えない局面も無きにしもあらずのようである。5年ほど前にある外国人アナリストが、「日本が経済成長したのは戦後50年以上自民党支配が続き、政治的に安定していたからだ」とコメントしていた。
民主主義の象徴とも言える二大政党制が日本でも確立しつつあるが、現在の政治が自民党時代と比べて優れているかどうかは議論の真っただ中。民主主義が万能かどうかは未だに分かりませんな。
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