2010/12/30

クレジット・ヒストリー


  イスラエルより HAT です。この世には不思議なものがたくさんありますが、クレジット・カードも不思議と言えば不思議なものです。

  主要クレジットカード会社であるアメックスやマスター・カードは世界有数の高収益企業であり、現金社会であった日本も多くの人がクレジット・カードを持っています。カード会社が儲かる理由はその収益構造にあり、代金の3%が店からカード会社に払われると言われます。私がよく行く寿司屋で10,000円分食べ、それをカードで支払うと寿司屋の大将は300円をカード会社に払う仕組みになります。

  日本の場合、海外旅行に出かける人が多く、100ドル分をカードで支払うと約5円程度の手数料が引かれるので更にカード会社は儲かるわけです。但し、最も収益率が高いのはアメリカ市場。なぜならば、アメリカにはクレジット・ヒストリーという制度があるからです。

  アメリカでカードを使い、先月の支払い分が500ドルとしましょう。その場合、明細にミニマム・ペイメントという項目があって、今月は50ドル払って、残りの450ドルは翌月以降に金利をつけ、支払いを先延ばしにできる仕組みになっています。

  なぜこういう仕組みになっているかというと、アメリカではカード会社に金利を払い、決済を先延ばしにすることで、クレジット・ヒストリーが形成されるからです。クレジット・ヒストリーは社会のあらゆるものと繋がっており、これがないと住宅ローンを借りることができません。

  つまり、借金をした履歴を作ることによって、ローン支払い能力があることをクレジット・ヒストリーによって証明するわけです。しかしながら、この制度はカード・ローン、自動車ローン、住宅ローン全てに繋がっており、今回の金融危機で多くの人がカードを持てなくなり、自動車や住宅を失いました。

  言い換えると、借金に慣れるためにクレジット・ヒストリーは存在しており、資産価値が下落する局面では問題を引き起こしかねない制度とも言えましょう。住宅価格が上がると、更にローンを借りて車を買い、その車に質権を設定して、クレジット・カードの上限枠を引き上げていく手法が2000年代前半に行われていました。誰もこの点を追求しなかったのも、すごく不思議だ。 

  

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